ヒゲ脱毛は難しいのか?
他の体毛の脱毛と比べればレーザー脱毛の効果が出にくいという印象があります。
では何故、レーザー脱毛の効果が出にくいのか考えてみます。
毛には毛周期というサイクルがあり、毛が盛んに成長をしている毛包(成長期)、成長を休止して毛が脱落する毛包(休止期)があります。
(その間の退行期という時期もあります)
レーザー照射による脱毛効果は成長期の毛のみに反応します。
そして、成長期と休止期の割合は身体の部位により異なります。
ある報告によると、
顎髭(顎ヒゲ)の成長期の割合は70%、
腋窩(ワキ)の成長期の割合は30%
下肢(脚)の成長期の割合は20%です。
(乃木田俊辰(2018).レーザー脱毛はなぜ効くか Bella Pelle , vo.l3 no.2 ,26-28)
このヒゲの成長期の割合だけから考えると、一度のレーザー脱毛で減少する毛の割合はワキ
や脚より多くなるはずです。
しかし、実際の私の経験では、ワキや脚と比較して、ヒゲの減毛度合いは少なく感じます。
また、美容医療業界において、ヒゲの脱毛効果が出にくいというのは、一般的に共有されていることです。
何故なのでしょうか?
これは、ヒゲの毛の特徴に理由があると考えています。
・ヒゲは太くて硬い毛です。
(太いということはレーザーに反応する面積が大きく、熱が入りやすいです)
・ヒゲは毛根が深い位置にあります。実際に毛抜きで毛を抜いてみるとわかりますが、長い場合は5mm程度、毛が埋まっている場合があると思います。
・ヒゲが生えている角度が皮表に対して垂直に近いです。他の体毛は皮表に対して浅い角度、つまり、寝て生えていますが、ヒゲは立って生えています。
特に、毛根の位置が深いこと、毛の角度が垂直に近いことが、脱毛効果の出にくさと関係していると考えています。
毛根の位置が深いということは、皮表と毛根の距離が遠くなることです。
また、毛が垂直に生えているということも、寝て生えている場合と比べて、皮表と毛根の距離を遠くすることになります。
つまり、ヒゲは毛根と皮表の距離が大きいため、レーザー照射のエネルギーが毛根まで届きにくいのです。
(レーザーは皮膚の中で構造物とぶつかり散乱し、皮表から深い位置ではエネルギーが弱くなっていきます)
以上のことより、ヒゲは脱毛効果が出にくいと考えています。
実際の感覚として、ヒゲが皮表に対して比較的寝て生えている首などは顎などと比べ脱毛効果が高いと感じています。
この脱毛効果が出にくいヒゲを、できるだけ効果的に脱毛するにはどうしたらよいのか?
黒ひげクリニックが出した解答は「YAGレーザー」の使用です。
YAGレーザーは他の脱毛用レーザーと比較して、波長1064nmと長いです。この付近の波長域では波長が長いほど皮膚への深達度が大きくなり、深い位置までエネルギーが届きます。
ヒゲ脱毛に特化している黒ひげクリニックでは、
このYAGレーザーを使うことで効果的なヒゲ脱毛を追求しています。
ただ、YAGレーザーにも欠点があります。
別の記事でそれについては説明したいと思います。
